Mのためのカメラ講座Ⅶ 「HDR」
150年目の移民です。
Mのためのカメラ講座 10回連載7回目。
ちなみに前回の話はこちら。
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今回はHDRについて解説。
解説しようと思った理由は「HDR撮影可能」とか、「HDR対応ディスプレイ」とか最近はよく聞くようになったからです。
HDRとはHigh dynamic rangeの頭文字です。
これを理解するためにはダイナミックレンジとは何かを知る必要がありますね。
ダイナミックレンジとは「表現可能な明るさから暗さまでの範囲」のことです。
??????ですね。下の写真を見てください。
通常の撮影
夕暮れのコントラストが印象的ですね。でも黒いところも撮影したいとしたらどうしますか?黒いところは暗いところです。暗い場所の撮影にはSSやFやISOを調整して光をたくさん受光すればいいのです。ですがそうすると空が明るくなり過ぎてしまうはずです。露出は蛇口から流れ出る水とコップの関係に似ている。明るい空に対する適性露出では暗い地上からの光がコップの中に入ってこないし、暗い地上に対する適性露出では明るい空の光がコップの中にたくさん入りすぎる。この矛盾した問題を解決するにはどうしたらいいのか?カメラメーカーが考え出した解決策は、
「明るい写真と暗い写真を別々に撮影してカメラ内部のコンピュータで合成し、一枚の写真に生み出せばいいじゃないか!」
といったものでした。つまりは異なる露出で撮影した複数の写真の長所を合わせて短所を補完しようという技術こそがHDR撮影なのです。
HDR撮影
地上もよく写っているし空も明る過ぎない。HDRによって表現可能な明るさから暗さまでの範囲が拡大したからです。HDRはここ数年で広まりました。昔からあった写真撮影技術ではないのです。ですがこの技術はこれからのデジタル写真・映像にとって大切なものになるはずです。すでにテレビやモニターもHDR対応製品が多く作られていることからもその流れは世界中で加速し、普遍的なものになると考えられます。っていうか、もう既にそうなっています。だからこそHDRは解説すべき項目だと感じました。
カメラにHDR機能が搭載されていなくてもPhotoshopにはすでに同様の機能が搭載されているのでそれを使って編集すれば大丈夫です。
Mのためのカメラ講座Ⅶ 「HDR」これにて終了。
次回「構図」に続く。
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Mのためのカメラ講座Ⅵ 「ホワイトバランス」
150年目の移民です。
Mのためのカメラ講座 10回連載6回目。
ちなみに前回の話はこちら。
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今回は「ホワイトバランス」について解説。
ホワイトバランスとは「白を正しく記録するための定義」とでもいうべきでしょうかね。白に光を当てると白ではなくなります。光の色に染まるからです。
青い光が照らされた白い壁は青く見えるし、赤い光に照らされた白い服は赤い服に見える。では正しい白を決めておかないと正しい色で撮影できないではないか。そんな困った状況に対応するためにホワイトバランスを理解しておく必要があるのです。
ホワイトバランスはWBと略されることもあります。
札幌時計台の中でWBを説明しましょう。
WB晴天
晴天のときはいろんなものが少し青みがかった光に照らされています。だからカメラは正しい白を記録するためには青とは逆にやや赤く記録しようとすることで色の均衡を保とうとするのです。でもちょっと赤くなりすぎてしまいましたね。
WBタングステン
WBタングステンとはタングステンライトに照らされている時に使います。タングステンライトとは白熱電球のことです。赤っぽいオレンジの光を出すライトです。オレンジ色の光に照らされた世界は全ての色がオレンジに近づきます。だからカメラはその逆に青く世界を補正して色の均衡を保とうとするのです。でもこれは青くなりすぎですね。
WB調整後
ホワイトバランスを調整したら現実的な色になりました。
ホワイトバランスを変更すれば星空を幻想的に撮影できます。
WB晴天
黒っぽい星空。
WB蛍光灯
紫色の星空。蛍光灯は緑色の光を放つのでカメラは紫色で打ち消そうとします。色の均衡を保つために。けれど星空の下には蛍光灯がないので紫色の世界が記録されるのです。
WBタングステン
青い星空。この3枚の中では一番好きな色です。青が好きです。
こんなふうにWBは色を正しくしたり撮影者の好みの色で世界を補正する時に役立つのです。
Mのためのカメラ講座Ⅵ 「ホワイトバランス」これにて終了。
次回「HDR」に続く。📷
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Mのためのカメラ講座Ⅴ 「フィルター」
150年目の移民です。
Mのためのカメラ講座 10回連載5回目。
ちなみに前回の話はこちら。
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今回はフィルターについて解説。
フィルターとはレンズの前面にある溝に取り付けることで様々な効果が得られるガラスです。フィルターの種類は様々で、CPL、ND、ソフト、クロス、カラー、プロテクトなどがあります。私は全種類のフィルターを持っていないのでいくつかの紹介に留めましょう。
レンズはそれぞれ使用できるフィルターの直径が決まっているので買う前に注意が必要です。つまりフィルター径43mmのレンズには43mmのフィルターが対応するため、52mmのフィルターを買ってきても使えないという事です。
CPLフィルターは円偏光フィルターとも呼ばれます。
私たちが普段周囲を見渡せているのは可視光線が目に届くためです。可視光線は様々な方向に傾きながら進みます。光が傾いていると言われても理解できないですよね。ですがさらに理解不能なことが。光が水や窓に反射すると光の傾きが一定の方向に整列して進み、CPLは任意の傾きの光を消す事が可能なのです。理解不能ですね。つまり反射を取り除く力をCPLは持っている。
CPLフィルター無し
笹川流れ海岸。そのまま撮っても十分に美しい。
CPLフィルター有り
水面の反射を取り除いて海の中がよく見えるようになった。空もより青くなった。大気中の塵や水蒸気の反射を取り除く事で空本来の青さに近づいた。
代表的なCPLはこちら。フィルターの直径がレンズとフィルターの接合部にあった大きさかどうかを注意。
Kenko カメラ用フィルター PRO1D WIDE BAND サーキュラーPL (W) 37mm コントラスト上昇・反射除去用 323717
- 発売日: 2009/11/18
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NDフィルターは減光フィルターです。光を減らす力を持っています。光を減らして何をするのかというと露出方法の自由度が欲しいのです。
光が強い昼にSS10は無理があります。10秒もシャッターを開け続けていたら明るくなりすぎてしまう。でももしそうしたいならどうすればいいでしょう?光を制限して、暗くしなければなりません。そんなときに役立つのがNDフィルターなのです。
ND400を使うと400分の1の明るさになります。
ND400 SS1/25
ND400 SS10
シャッタースピード25分の1から10秒に。画面中央の人物が消えています。光を受ける時間が長いので停止しているものは写りますが停止していないものは消えるのです。
ND400はこちら。フィルターの直径がレンズとフィルターの接合部にあった大きさかどうかを注意。
ソフトフィルターは光を滲ませる効果を持ちます。ふんわり柔らかい印象を与える写真になります。
ソフトフィルター無し
ソフトフィルター有り
おじさんがなんだかファンタジックな印象になりました。
ソフトフィルターは星空を撮るときも便利です。星は光が弱いのでSS20〜30秒くらいで撮ることが多いですが光を滲ませて星を大きく目立たせるのことができるのです。この時はめちゃ寒くてフィルター無しの比較用写真を撮ることまで頭が回らなかった。。。
代表的なソフトフィルターはこちら。フィルターの直径がレンズとフィルターの接合部にあった大きさかどうかを注意。
Mのためのカメラ講座Ⅴ 「フィルター」これにて終了。
次回「ホワイトバランス」に続く📷
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Mのためのカメラ講座Ⅳ「画角」
150年目の移民です。
Mのためのカメラ講座10回連載4回目。
ちなみに前回の話はこちら。
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今回は画角についてです。画角とはレンズの性能の一つを表す数値です。焦点距離を数値化して表記されます。センサーサイズが違うと画角が示す有効な撮影範囲が違ってくるので、35mm換算という表記をする場合も多いですね。今回の説明でも35mm換算の画角で説明します。
24mm
広角で撮るとこうなります。ちょっと次の画像に注目してみましょうか。
これは上の画像の中心部分を切り取ったものです。道が続いていて信号が並んでいますね。赤い丸で示した青い看板の付近に行けば信号がもっとよく見えるかもしれません。青い看板のところまで行ってみましょう。
24mm
あれれ??青い看板のところまで来たのに信号がよく分からない。もっとたくさん並んでいたように見えたのに。もっと道を歩いて行けばたくさん信号が並んでいるのかな?
24mm
やっぱり信号がたくさん並ぶ場所はないのかな?
ではここで画角を変えてみましょうか。焦点距離は500mm。これならすごく遠くが撮れる。つまり広角撮影から望遠撮影に切り替えるのです。
500mm
信号がたくさん写りましたね。信号と信号の間がすごく狭いようにも感じられます。望遠レンズ独特の距離感が短くなったかのような描写は圧縮効果と呼ばれています。
つまり画角は遠近感を生み出しているのです。
近くのものはそうではないものに比べて大きく見えます。
遠くのものはそうではないものに比べて小さく見えます。
広角レンズは遠近感を強めます。望遠レンズは遠近感を弱めます。
遠近法という当たり前といえば当たり前な感覚を画角が司り、その撮影範囲と距離感を数値化したものが焦点距離ということです。
Mのためのカメラ講座Ⅳ「画角」これにて終了。
次回「フィルター」に続く📷
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Mのためのカメラ講座Ⅲ 「感度」
150年目の移民です。
Mのためのカメラ講座10回連載3回目。
ちなみに前回の話はこちら。
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今回は感度についてです。
露出の三大要素についての解説はこれで最後です。
連載1回目では露出を蛇口に例えました。コップに水を入れる時間がSS。蛇口をどれくらい開けておくかがFである。そして感度をコップそのものにかかった魔法のようなもの?と表現しました。感度はISOとも表記されます。さらには「空気感?味わい深さ?現実感と非現実感?」に大きく結びついていきますと書きました。
でもおかしいですよね。コップに魔法なんてかかってないじゃん。。。
けれどそう表現するのが妥当だと思うんですよね。なぜならコップの中で水が増えるんですから。つまり感度とは、任意の受光量に擬似的に増大させる機能なのです。
ISO100
ISO3200
こんな感じで感度が上がれば暗闇でもきれいに撮れるってことです。スマホの宣伝で「高感度カメラ搭載で夜景でもきれいに撮れる!」とか言ってるあれがそうです。
ただし感度が上がると画質が悪くなります。ザラザラとした質感の写真になります。この画質の荒れ方が好きと言う人もいますけど。昔のフィルム写真っぽい粒子感がいい雰囲気を醸し出すこともあります。
ISO12800
ざらりとした粒子感の表現でなんだか渋くてかっこいい気がしないでもない。そんな台湾の景色。もしこの写真が高画質だったらカッコよくない気がします。高感度ノイズもしばしばいい味出したりすると思います。
センサーサイズ表。
センサーサイズが大きければ大きいほど高感度撮影が得意です。小さいセンサーは高感度撮影が苦手です。ピンクのセンサーは多くのスマートフォンに搭載されているセンサーの大きさとほぼ一致します。センサーのサイズが小さいと一度に受光できる面積が小さいですから、受光する効率が悪いのです。
一方、大きなセンサーは広い面積で効率的に受光可能です。暗いところでもわずかな光をたくさん集めて美しい写真を撮影できるのです。
ですが最近のスマートフォンのカメラ性能の進歩は凄まじく、暗くても綺麗な撮影ができるようになってきましたが。それでもやはり大きなセンサーサイズのカメラを経験のあるカメラマンが使ったときには及ばないかもしれませんが。
Mのためのカメラ講座Ⅲ「感度」これにて終了。
次回「画角」に続く。📷
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Mのためのカメラ講座Ⅱ 「絞り」
150年目の移民です。
Mのためのカメラ講座。10回連載2回目。
ちなみに前回の話はこちら。
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今回は絞りについて解説。絞りとはレンズの中に空いた光を通す穴の大きさを調節する場所の名前のこと。この穴の大きさはF値で表されます。F値はFと省略されることもあります。
Fが大きくなると穴は小さくなります。そして穴を通る光は少なくなります。
Fが小さくなると穴は大きくなります。そして穴を通る光は多くなります。
穴の大きさを調節して光の量をコントロールするため、前回の話であった蛇口の例え話では絞りは蛇口の開け具合に当てはまるのです。蛇口を開けて水や光を多く取り入れたり、逆に少ししか蛇口を開けずに水や光を制限するのです。ここまでは絞りが明るさを決定する時にどんな役割があるのかを書きましたが、ここからはもう一つの役割について書きましょう。
もう一つの役割とは被写界深度についてです。
前回のシャッタースピードの話ではSSが時間をコントロールしていることは書きましたが、Fは空間をコントロールしていると言ってもいいでしょう。それが被写界深度とよばれます。文章だけで理解するのは困難でしょうから、写真に頼りましょう。
F16
F1.8
明らかにボケが違うでしょう?F16では被写界深度が深い(あるいは広いとも呼ばれます)のでボケないですが、F1.8では被写界深度が浅い(あるいは狭いとも呼ばれます)のでボケるのです。
被写界深度を深くして、近くから遠くまでフォーカスを合わせた撮影をパンフォーカスと呼びます。
F16
被写界深度を極端に浅くすることでこんな撮影もできます。マクロ撮影と呼ばれます。マクロ撮影にはマクロレンズという専門的なレンズが必要です。
指と同じくらいの大きさのラベンダーがこんなにふんわり、くっきりと。強力なボケを出すとここまでできるのです。
F4.2
被写界深度の浅い写真、つまりボケた写真を撮るにはFを開くことが有効ですが、他にも方法があります。
①センサーサイズの大きなカメラを使うこと。
②被写体に近づくこと。
③焦点距離の長いレンズを使うこと。
これらに加え、既に解説した絞りを開けるという方法があるので全部で4種類のテクニックがあるのです。ちなみにラベンダーの写真は4種類全てのテクニックを使いました。
初めて聞く言葉が出て来ましたが、それは後で解説します。例えば焦点距離とかね。
Mのためのカメラ講座Ⅱ「絞り」これにて終了。
次回「感度」に続く📷
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Mのためのカメラ講座 Ⅰ 「シャッタースピード」
150年目の移民です。
友人のMが「カメラについて教えて欲しい!」と言いました。それでできるだけわかりやすく写真スキルについて解説していくことに。ほとんど毎日のように顔を合わせるけれど休日が重ならず時間がとれないし、Mがどこでもスキルを確認できた方が便利だなと思いました。既存のフォトグラフスキルが詳しく開設されたサイトを紹介しようかなとも思いましたが、なんかそれはそれでなあ…。なんていうか献身的じゃない気がしました。そんなわけで。
これはMのためのカメラ講座。10回連載1回目。
まずは露出から書いていこうと思います。露出とは明るさのことです。どれだけの光を受け入れるかと言ってもいい。写真の世界では露出の仕組みについて蛇口に例えられることが多いです。
水道から流れる水が光。
コップに水を入れる時間がシャッタースピード。SSとも略される。
水道の蛇口の開け具合が絞り。F値とかFと呼ばれる。
コップそのものにかかった魔法のようなもの?が感度。ISOとも表記されます。
これらSS、F、ISOの三つの数値で水の量が決まります。写真を作り出す光がこれらの組み合わせで決定されるのです。そして写真の中の「時間」と「空間」と「空気感?味わい深さ?現実感と非現実感?」にそれぞれ大きく結びついていきます。
さて。今回は露出の3要素の1つ「シャッタースピード」について。
シャッタースピードとはカメラがシャッターを開けておく時間のこと。
SS1/640ならヘリコプターの翼をほぼ止めることができる。高速シャッターは時間が止まるってこと。
SS1/4000。0.00025秒しか光を受け付けない。だから巣作り中の鳩も空中で止まる。
SS1/800。シャンパングラスのような噴水。
SS30秒なら30秒間シャッター開けっぱなし。30秒間ずっと光がコップ(つまりカメラのセンサー)に入り続ける。滝の水がドライアイスの煙みたいになる。
SS10秒。海の水は霧のようになる。長秒シャッターは幻想的な雰囲気を生みやすい。
SS30秒。車の助手席に乗って対向車に向かってグルグルカメラを動かして遊んでたら、対向車のライトの軌跡がこんなことになった。
SS30秒。夕暮れ時の交差点。止まっていた車は走り去った。後から来た車はテールランプだけが残った。
シャッタースピードを使いこなせば写真に存在する時間をコントロールできるというわけだ。
写真が光の落書きだとすれば、動画はその落書きを集めてパラパラ漫画を作ったようなもの。この動画はまずSS10秒の写真がタイムラプス撮影という手法で大量に撮影され、1秒間に何度も写真が切り替わるように動画に変換後、逆再生されている。
というわけで、写真の仕組みが分かれば動画にも応用できるのだ。静止画の集合体が動画だからだ。
Mのためのカメラ講座 Ⅰ 『シャッタースピード』これにて終了。
次回「絞り」に続く📷
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